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少年時代 [映画]

一般的な映画好きの人に言ったら、映画のシーンひとつを取り上げあーだこーだ言うのは、外道と

言われてしまいそうですが、映画のテーマや内容や上映時間がとっても気に食わないのに、

このシーンがあるからこの映画を好きになったという映画は、私にはいっぱいあります。

アル・パチーノ主演の「セント・オブ・ウーマン」レストランのタンゴ。

ロバート・カーライル主演の「フェイス」の最後のパーキングの待ち合わせのシーン。

ジュリア・ロバーツ主演「ベストフレンズウェディング」の小さな願いを歌うシーン。他たくさん。

そして、篠田正浩 監督の「少年時代」の汽車を追う少年のラストシーン。

見ていない方も多数いらっしゃると思いますので、内容は多くを語りたくありませんが、

主人公進二の親友ともいえる武が心がふるえるほどいい奴で、少年だから荒削りなところは

たくさんあるけど、そのラストの爽快感はその子の人となりをすごく表しているように感じました。

人は大人になっていく過程として必ず少年時代(わたしで言うと少女時代となるのですが)を経験し

ます。

この映画観て男の子として生まれて少年時代をやってみたいなあと思えて仕方なくなったもので

す。ええな、ええな男同士ってとつくづく思いました。

でも、わたしの少女時代が楽しいばかりでよいことづくめではなかったように、男の子で

少年だからといってよいことばかりではないでしょう。まず、思春期という時期は感受性の

動きが自分の思いよりずっと鋭く、毎日が心がひりひりし、そして自尊心も富士のお山よりも

高くそびえていたから、たった一つのにきびや失恋でさえ生き死ににかかわることのように

感じてしまう・・・。青春時代という誰が何の因果で名づけたか知りませんが、詩情あふれるこの

言葉に惑わされて、随分楽しく愉快で未来に対する何の不安もなく、友情をはぐぐみほれたはれた

のいちばん純粋で美しいところをかい間見ることができるのではないのかと勘違いしてしまい、

たいしたこともないことで毎日心悩まし、負わなくてもよい引け目や疎外感を感じていました。

私の少女時代はその両親の少年少女時代まではなんとなくまだまだ日本も豊かな国とまでは

言えなかったようで、私たち世代ののようにただひたすら自分の少年時代のことばかりをかんがえ

ればいいという状況ではなかったようで、随分うらやましがられましたが、それを過ごしている本人

にとっては、外に出れば10人の敵がいるみたいな戦々恐々とした気持ちでいることが多かったので

ますます反抗期に拍車をかけただけだったように覚えています。

でも、少年時代は楽しいことばかりではないよと本物のリアル少年に伝えてしまうのはやぶ

さかではありません。今の子のほうが、私の子ども時代より随分と生き難いじだいのようですから

真実を伝える方がよいのでしょうか。まだ、子を持ったことのないわたしには今回かなりの時間をか

けて考えてみましたが、答えが出ることはありませんでした。

他の好きなシーンについても話したくてたまりませんが、きりがないのでやめときます。

長い道

長い道

  • 作者: 柏原 兵三
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1989/10
  • メディア: 文庫


少年時代

少年時代

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2005/04/28
  • メディア: DVD


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コメント 12

yukimura

はじめまして。
強烈に心に残るシーンてあるねぇ
俺はスワロウテイルの三上博が取り外される看板を見上げるシーンとかナチュラルボーンキラーズのインタビューシーン・・・
少年時代、見たのだいぶ昔やなー
また見よっかなー
by yukimura (2006-09-09 18:58) 

takepii

takaさん。ありがとうございます。こちらこそ初めまして。私もスワロウテイルの看板シーンも好きですね。好きなシーンは本当に言い出すときりがないですね。1000個くらい平気で出てきそうです。
by takepii (2006-09-09 21:21) 

horigon

こんばんは。
この映画の原作は、小説を藤子不二雄Aが漫画化したものでしたよね。
実は藤子氏は富山県出身で、撮影もかなりの部分が当地で行われたものですから、人一倍関心がありました。

ところで、僕も自分のことを考えてみると、当時流行った17歳=セブンティーンなんて淡い響きで、青春時代を迎えるのかと想像していましたが、実際は惨憺たるものでしたね。
今から考えれば、もう少し違った生き方が出来たのかも知れませんが、後悔先に立たず、です。(笑)
by horigon (2006-09-09 22:03) 

takepii

horigonさん。いつもありがとうございます。人生はいつも後悔先に立たずと戦うものかもしれませんね。今からやり直すのなら、自分の思う楽しい青春時代が過ごせるかといえば・・・それもよくわかりませんね。
by takepii (2006-09-09 22:42) 

たいへー

私の少年時代は、自分の世界で遊ぶのが好きでしたね。
鉛筆が飛行機に、消しゴムが戦車に見えましたから・・・
授業なんて聞いている訳がない・・・
by たいへー (2006-09-09 22:54) 

takepii

たいへーさん。いつもありがとうございます。自分の世界を持つのも少年時代でしょうね。想像力は宇宙規模まで行ってますものね。消しゴムが戦車とは本当にお釈迦様でも知らぬ仏ですね。
by takepii (2006-09-10 10:49) 

鯉三

記憶に残る映画の1シーンは数限りなくありますが、こと少年というものに限ればなんでしょうね。わたしの場合は「大人はわかってくれない」のラストかなあ。さわやかさほろ苦さなら「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」がすぐに浮かびました。
by 鯉三 (2006-09-11 03:03) 

りんこう

「ラストが印象に残る映画」=「好きな映画」とは限りませんが、
「好きな映画」は「ラストが印象に残る映画」であることが多いです。
「少年時代」は井上陽水のテーマ曲の力がかなり大きいと思います。
by りんこう (2006-09-11 20:16) 

takepii

鯉三さん。いつもありがとうございます。ラストが心に残る少年のラストのもうひとつとても印象深いのはわたしはルイ・マル監督の「さよなら子どもたち」でしょうか。確かに「大人はわかってくれない」も後に残りますね。

りんこうさん。ありがとうございます。ラストが印象に残る映画=好きな映画等りんこうさんがおっしゃること同感です。テーマ曲の力は随分あるかもしれません。わたしにとっては、大原君の力と思える部分もあります。あの少年が映画の中でいちばん好きですから。
by takepii (2006-09-11 21:42) 

Wine

私の心に残るワンシーンは、ずばり「解夏」のラストシーンでしょうか。
by Wine (2006-09-12 09:29) 

welovemovies

コメントありがとうございました。

井上陽水の「少年時代」に少し持ってかれた部分もありますが、この映画はさわやかでしたね。少年のころ、誰でも似たようなことを経験しているでしょうから、この映画に感じることは多々あると思います。

青春時代ですか。いまもです!36歳になっても!バスケやブログなどなど。まだまだ好奇心は衰えず、新しい出会いも刺激的。ずっと少年の知能を持ち?!生きていくぞ、と心に誓っています...
by welovemovies (2006-09-12 20:22) 

takepii

Wineさん。ありがとうございます。解夏も美しい映像の映画でしたね。長崎という街は日本の中で生まれも育ちも異色ですが、まさにその通りの場所で、映画になるとひたすらよいし、映画のテーマにもぴったりでしたね。

えすぱさん。ありがとうございます。わたしでも、そうはいっても青春時代はいまだに続いているのではないか・・・とふと思うときはあります。17歳の頃と今は青春時代と同じ言葉でくくるけどなんだか色が違う気がするときが多いこともあります。
by takepii (2006-09-16 18:28) 

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