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しがないけど、かっこいいオヤジ。 [小説、本]

「世は無常」というのは、日本人ならある程度こころに思っているものであるように思います。

「ゆく川の流れは絶えずして、然ももとの水にあらず」とはよく言ったもので。

「祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり」は年端のいかぬ私でも、本当の真実と

決めかかっている節があります。

今のこの時が永遠とまではいかなくとも、思う存分心ゆくまで味わいたいと思う前に

あっと本当に言っている間に時間といういかんともしがたいものが手の中をすりぬけてしまう

というのは事実。

全く関係ないことではありますが、私が世は無常だなあと思うときはたくさんあります。

高尚なことから、本当にくだらないことまでたくさんありますが、

そのことの一つに男に生まれたかったなあと言う思いがあります。

男女わけ隔てなく育てられる世代に生まれた私ですので、女として不条理を

感じることはありませんでした。

ただ、男同士のあれこれなど、友人関係ひとつとってもなぜか女同士とは違い、

なんかいい感じがするのです。

ちょいワルなんて言葉もオヤジにつけるから、かっこいいのであって、

ちょいワルオバチャンは・・・意地悪ばあさんのイメージになっちゃうし、何か違う気がします。

いいかげんそろそろ女ざかりを迎えた今でも、男になって見たいなあと思います。

お化粧したり、きれいに着飾ったり、子どもを生んだり、いつ終わるともわからない井戸端会議

をするのも、女性だからこそできる楽しいものはたくさんあるのですが、

男同士の世界でちょっとやってみたいなあと思ってしまいます。

最近特にその傾向が強いです。

というのも、ある小説にこんなオヤジ(お父さんではなく、世で言うおっさんという方のことです)

が出ていて、ぜひこんなオヤジになりたいなあとつくづく思ったからです。

佐藤雅美氏の小説「物書同心居眠り紋蔵」の主人公藤木紋蔵。

この紋蔵氏は、ぱっと見ぱっとしないオヤジだけど、すごくいいですね。

最近ふと本屋で手にとって、読み始めあまりのおもしろさにブログに書いてしまいましたが、

きっと時代小説好きには定番なのでしょう。

ドラマ化されたそうですから。

読むとやっぱりつくづく男同士の付き合いとやらを一度でいいから

やってみたいと思うばかりです。

こんなくだらないことばかりで、「無常」を感じているわけではありません。

いちばん感じるのはこういうことです。

私が好きな映画監督のひとり「ロバート・アルトマン」氏が20日亡くなりました。

今年のアカデミー賞で名誉賞をもらった時はまだこれからたくさんのステキな

映画を作り続けてくれるのではと期待させてくれるくらいよいスピーチをされていました・・・。

この方も自分なりのこだわりを持つかっこいいオヤジのひとりでありました。

ご冥福をお祈りします。


物書同心居眠り紋蔵

物書同心居眠り紋蔵

  • 作者: 佐藤 雅美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 文庫


四両二分の女―物書同心居眠り紋蔵

四両二分の女―物書同心居眠り紋蔵

  • 作者: 佐藤 雅美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 文庫


お尋者―物書同心居眠り紋蔵

お尋者―物書同心居眠り紋蔵

  • 作者: 佐藤 雅美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 文庫


隼小僧異聞―物書同心居眠り紋蔵

隼小僧異聞―物書同心居眠り紋蔵

  • 作者: 佐藤 雅美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 文庫


密約―物書同心居眠り紋蔵

密約―物書同心居眠り紋蔵

  • 作者: 佐藤 雅美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/01
  • メディア: 文庫


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コメント 6

horigon

おはようございます。
いいですねぇ、チョイ悪オヤジにかっこいいオヤジ。
僕も常々そうなりたいと願ってきましたが、いつの間にか小心者の
オヤジになっておりました。
当方には女性になりたい願望はありませんが、かといって
もう一度生まれ変わっても、かっこいいオヤジにはなれそうもないし、
当分、みなさんの引き立て役として生きてまいります。(笑)
by horigon (2006-11-23 08:20) 

たいへー

そうですね。 
私も男ですから、その点はいい所だと思っています。
私の場合、友達 ・ 親友 ・ 仲間の3種類がありますね。
友達=気が合う人 親友=一人 
仲間=同じ目的意識を持った人達 ・・・こんな感じですか。
参考になりますか?
by たいへー (2006-11-23 08:22) 

takepii

horigonさん。いつもありがとうございます。リアルライフに生きるオヤジにあこがれているわけです。わたしは。レオンの雑誌によくいるイタリア人ではありません。仕事を真摯に勤められるhorigonさんもステキだと思いますが・・・。

たいへーさん。いつもありがとうございます。そうそうそれそれ、仲間とか友達とか親友とか。男同士だと凄くいい感じではないですか!!女同士だとどうしてもなんかどうしても女という何かが邪魔をしている気がします。
by takepii (2006-11-23 21:08) 

鯉三

わたしは仕事、プライベートともに女性との付き合いが圧倒的に多いので、そういう点で、男同士の付き合いがもっとほしいなとよく思います。「羨ましいな」という男性の友人もいますが、やはり同性との付き合い、異性との付き合いはまったく違うものなので、どちらも普通にあってほしいと思うのは自然なことですよね。

でも、takepiiさんがおっしゃっている「男同士」というのは、実は女性作家の方が上手に描いている場合が多いような気がしています。たとえば高村薫なんかの小説がそうです。ちょっと同性愛を匂わせる点もありますが、わたしが読んでもかなり美しいと思います。だから、「ちょっと違うかも」と思うこともあります。
by 鯉三 (2006-11-24 01:32) 

coco030705

おじゃましまーす。
>ちょいワルなんて言葉もオヤジにつけるから、かっこいいのであって、
ちょいワルオバチャンは・・・意地悪ばあさんのイメージになっちゃうし、何か違う気がします。

↑同感です。(笑)でも、「ちょいワルおやじ」というのも、どういうおやじなのかがよくわからないのですが。わたしにとって、魅力あるおやじは、
まずは清潔感のある人、そして自分の夢中になれるものを持っている人です。takepii さんの「ちょいワルおやじ」のイメージはどんな人でしょうか。
by coco030705 (2007-03-02 18:33) 

takepii

わたしのちょい悪オヤジは、
弱く見えても芯の強いオヤジです。
弱い人にやさしいとか、空威張りしないとか、
そんな感じでしょうか。
イメージでは、なぜかすきでもないのに永ちゃんです(笑)
by takepii (2007-03-02 22:18) 

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